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連絡用と銘打った生存確認用ブログ。最近は携帯からのジャンプ感想板になりつつあります。

   

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優しい赤@ツナ獄

どうにも普通にアップする勇気がなかったので。
もう、自分のカラーじゃない話は書かないつもりだったんだけどなぁ(笑)シャム双生児パラレルで死亡フラグです。やっぱり同人やってたらシャム双生児ネタってお約束じゃないですか。一度はやっときたいみたいな。今までそれをするに相応しいカプにはまらなかったので、ツナ獄逃すと2度とできないだろうなぁっと思ったので。グダグダ書いたのは一応話の筋を作る為だけで、本当に書きたかったのは獄寺くんの台詞とシチュエーション。絵が書けたら絶対漫画にしたいタイプの話だよなぁと思います。シチュエーション萌。いつかちゃんと組み立ててリベンジしたいけど私の文章力じゃ無理だろうなぁ。携帯からちゃんと読めるのかが少し心配なんですけどまぁそんなたいしたもんじゃないんで許してください。

「優しい赤」

ねぇ笑っちゃうだろ。
俺さ、未だに朝起きたら一番に「おはよう」って言っちゃうんだ。部屋には誰もいないのに。寝るときだって仰向けで眠れないんだよ。広いベットの隅っこで横向きになって。君と離れてもう何年もたつのにね。
俺には今でも君しかいなくて。君の声、君の温もり、最後に見た君の笑顔。俺が思い出すのは、いつだってあの時の笑顔なんだ。
ねぇ、隼人。あの時俺は、君が望むように笑えていたのかな?


カチッと部屋に音が響く。机の上にペンを置いたまま、俺は今解いた課題を一通りチャックする。スペルミス、計算間違い。どうにもケアレスミスの多い俺に、「問題を解いた後、一度ゆっくりと見直しをしてみて下さい」と言ったのは隼人だ。だから俺はちゃんと見直しをするようになった。ミスは減ってきている。少しはマシになったみたいだ。
「できた、かな。」
一通りチャックを終えてから、後ろに声をかける。
「お疲れ様です」
耳に心地よい声が鼓膜を擽る。そっと肩口から伸ばされた掌にノートを渡すと、俺はコキコキと首を鳴らした。ずっと同じ姿勢を続けていると流石に疲れる。
俺の解いた問題をチャックする為に隼人が少し上体を傾ける。その空気を感じて、少しだけ俺は身体を後ろに倒した。両手を天井に突き上げて伸びをすると、凝り固まった身体が楽になる。もうずっと、それこそ生まれた時からくっついている俺達は、互いの距離感をきちんと把握している。今だって、隼人の邪魔にならないギリギリのラインで動いてるんだ。そうやって俺達は今までやってきた。これからだってずっとそうだって信じてた。
「全問正解です。さすが十代目!」
後ろから、嬉しそうな声が上がった。いつだって隼人は俺の何かを、自分のことのように喜んでくれる。俺がここまでできるようになったのも、全部彼のおかげなのに。
「ありがと。これも隼人のおかげだよ」
にこりと笑って御礼の言葉を述べる俺に、彼も笑ってくれている気配が伝わってきた。
隼人と俺はいわゆる結合双生児ってやつで。お互いの背中と背中がくっついた状態で生まれてきた。しかも隼人は無心体ってやつらしくて、俺の心臓を使って生きているらしい。だから俺達は、生まれた時から何をするのもずっと一緒だった。でも俺は、別にこの心臓が自分の物だなんて思っていなかった。背中に心臓は置けないから、たまたま俺の方にあっただけ。この心臓は2人の物。ずっとそう思ってきたし、その思いは今だって変わっていない。だから、あの日隼人が言った言葉に本当に驚いた。
「…もう、十代目に俺は必要ありませんね。」
まるで「明日も晴れますよ」とか、「今日の夕飯はパスタですよ」とか。何でも無いことを言うような口調だった。だから一瞬俺は、何を言われたのか理解できなかった。
「必要ないって…?」
じわじわと言葉の意味が脳に浸透してきて。背中がすっと冷えた。隼人とくっついてて、いつも温かいはずの背中が。まるで離れてしまったかのように。
「十代目、分離手術。受けてみませんか?」
隼人の声は淡々と部屋に響いた。分離手術。何も、初めて聞いた単語ではなかった。周囲の人間、特に俺の家庭教師を務めるリボーンには、再三聞かされてきた単語だ。けれで、俺は今までずっとそれを拒否してきた。
ボンゴレという巨大マフィアの十代目として生まれた俺には、このファミリーを護っていく使命がある。その為にも、いつまでも隼人とくっついていたのでは不便だから、ということらしい。
同じ双子なのに、何をもって俺が十代目なのか。おかしな話だと思う。勉強だって頭の回転だって隼人の方がずっと優秀で、いつだって俺は彼に助けられてばかりなのに。
「何で急にそんなこと言うの?隼人だってずっと反対してたのに…。俺と一緒なのウザくなった?」
俺はずっと隼人と一緒にいたかった。隼人と離れるのは不安でしかたがなかった。隼人はいつも俺の見方だった。いつだって助けてくれた。甘えていたのだ。俺がもっと早くに覚悟を決めていたら、もしかしたら俺達には違う未来が待っていたかもしれないのに。
「俺があなたを煩わしく思うなんて、そんなことあるはずがありません。ただ、あなたはボンゴレの十代目として、もう充分な実力を身につけておいでです。俺が後ろからお助けする必要はもうないと思うんです。」
「何言ってんの?俺には隼人が必要だよ!俺に実力なんてない、ダメツナだもん。隼人がいてくれなきゃ何もできないよ!」
焦って大きな声が出てしまった。でも隼人もずっと俺と一緒にいたいと考えてくれてると思っていたから。だから今聞いた言葉が信じられなかった。信じたくなかった。
「甘えたこと言ってんじゃねぇぞ。」
俺達の間に割って入ったのはリボーンの声だった。いつの間にか部屋に入って来ていた彼が、黒い瞳で俺を睨むように見る。
「いつまでもそのままでいれるわけねぇだろ。お前はボンゴレの十代目なんだぞツナ。本当だったら生まれた時に離されてても可笑しくねぇくらいだったんだ。今まで一緒だっただけでも―」
「リボーン!」
自分でもびっくりするくらい低い声がでた。
「それ以上言ったら、いくらお前でも許さないからな」
生まれた時に離される、それがどういう意味かわからない程俺も馬鹿じゃない。隼人の体には心臓がないんだ。そんなことをしたらどうなるかくらい分かりきっている。
フンと鼻を鳴らすリボーンに俺は、はぁと溜息をついてみせる。
「人工心臓の適合成功率って今どれくらいなの?」
「50%だぞ」
あっさり応えるリボーンに俺はもう一度溜息をついた。50%。お話にもならない。
「ありえないな。成功率が100%になるまで分離なんてしないから。」
「十代目、でも100%は」
「無理ならずっとこのままでいる。一生このままで良いよ」
今度はリボーンが溜息をつく番だった。もうリボーンとは何度も繰り返してきた問答だ。隼人まで分離を…と言い出したのは初めてだったけど。それでも俺の意見は変わらない。
「十代目、俺はあなたの負担になりたくないんです。このままでは、俺はあなたの足手まといにしかなりません」
「さっきも言ったけど、俺には隼人が必要なの。足手まといになんかなるはずないよ」
隼人が考えそうなことだ。いつだって俺のことばかりで自分のことは後回し。成功率50%ってことは半分の確立で死んじゃうってことなんだよ?冗談じゃない。隼人が自分のことを考えないなら、俺が考えるしかないじゃないか。
「でもこのままでは、あなたの前を護ることができません。あなたと同じ物を見ることができません。約束します、今度は俺、あなたの横でお役に立ちますから。」
だから俺、あなたの笑った顔を見たいんです。
それは隼人が言ったはじめての望みだった。いつだって俺の言うこと最優先だった隼人が、はじめて俺の言葉に逆らって言った、自分の望み。
「大丈夫です、十代目。成功率が半分もあるんですよ。必ず成功します!」
隼人の声は明るかった。きっと笑っている。あなたの顔が見たい、それは俺もずっと思っていたことだった。今、隼人はどんな顔で笑っているんだろう。確かに俺も見てみたかった。


結局、隼人の約束は守られなかった。もし、俺がもっと早くに覚悟を決めていたなら。人工心臓の研究をもっと急がせていたなら。100%とは言わなくても70、80%には確立を上がられたのだろうか。
「約束、守れなくて申し訳ありません。」
隼人が横たわるベットの淵で。わんわんと泣き喚く俺を見て、彼が申し訳なさそうに眉を下げる。本当は逝くなと叫びたかった。嘘つきと罵りたかった。でも、隼人を悲しませたい訳ではなかった。怒りや、悲しみやどうしようもない感情であふれていたけど。決して隼人を責めたい訳ではなかった。
「十代目…」
そっと彼の腕が伸ばされる。頬に触れた指先は冷たくて。俺はその手を両手ですくうと、ぎゅっと自分の頬に押し付けた。俺の温もりが移ればいいと思った。隼人を助けて欲しかった。けれど、もう神様は俺が彼に甘えることを許さなかった。
「俺、幸せでした。本当にありがとうございました。あなたにたくさんの愛情を頂いたのに、お返しできないままこんなことになって。申し訳ありません。」
俺はぶんぶんと首を振った。ぼたぼたと落ちる涙が真っ白いシーツにしみを作る。
「俺こそ、君にはいっぱい助けてもらったのに、何もできなくて」
俺はただ心臓を動かしていただけだ。しかも自分も生きるのに必要なことだったのだから、隼人の為にという訳ではない。それなのに彼はお礼を言ってくれる。自分が一番辛いはずなのに、俺に謝ってくれる。
そっと隼人の手をシーツに戻すと、俺は袖口で涙を拭った。あふれそうになる涙をぐっと耐えて笑ってみせる。あなたの笑った顔を見たいんです。隼人の望み、叶えられたかわからないけど。
隼人はどんな顔で笑っているんだろう。その俺の疑問は答えを見つけることができた。


「隼人ってば凄い綺麗な顔してるんだもの」
俺と双子だなんて、くっついて生まれでもしなかったら誰も信じなかったと思う。あの綺麗な顔を見ることができたのが幸せだったのか、一生見ないままの方が幸せだったのか。今でも俺はよく分からないけれど。胸に手を当てると聞こえる2人分の鼓動。この心臓は2人の物だって俺は今だって信じているから。
だからきっと隼人はここにいてくれるんだよね?

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