Minor CP PC、携帯共通ブログ
連絡用と銘打った生存確認用ブログ。最近は携帯からのジャンプ感想板になりつつあります。
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白球に記す思い出
並中仲良しトリオ。
本誌を読んでてなんとなく勢いで!ちゃんとまとめる時間がないのでとりあえずここに上げておきます。修羅場終わったらちゃんとアップしたい。
一番言いたいのは、もっさんから野球を奪っていいのは、ツナだけなんだよってこと!
本誌を読んでてなんとなく勢いで!ちゃんとまとめる時間がないのでとりあえずここに上げておきます。修羅場終わったらちゃんとアップしたい。
一番言いたいのは、もっさんから野球を奪っていいのは、ツナだけなんだよってこと!
ユラリと景色が歪んだ。
今年の夏は冷夏だなどと、一体誰が言ったのだろう。蓋を開けてみれば記録的猛暑で、最高気温更新のオンパレード。アルプススタンドに並ぶ綱吉たちも、いつ倒れるかと思った程だ。マウンドに立つ選手たちは、凄く大変だっただろう。
凄く大変とは、なんとも陳腐な感想だ。こんなにも近くで彼を見続けてきたのに。綱吉には、今、彼の背中にどう声をかければいいのか、それすらもわからない。
「おい、山本」
結局声をかけたのは獄寺だった。くるりと振り返った山本がにかっと笑う。
「なんだ、獄寺?」
「その……砂とか、よかったのかよ」
早口で言い切った獄寺は、ガラじゃないとでも言うようにしかめっ面をして足元を睨んでいる。
「甲子園つったら、記念に砂持って帰るんだろ」
激戦の関東地区を勝ち抜いて、今年、山本は甲子園のマウンドに立った。高校最後の夏だ。綱吉たちも必死に応援した。
その夏も、先ほど終わりを告げた。終わってみれば、本当にあっというまだった。
「んー。俺、野球は高校までって決めてたからな。ここに全部置いてくのな!」
笑った山本の顔を見れなくて綱吉は俯いた。足元の土が色を変える。奪ってしまうのだ、自分が。彼が人生の半分以上かけて打ち込んできたものを。
「ごめん」と言いかけて唇を噛む。山本は、綱吉に謝罪など望んでいない。謝って許されようなどと、あまりにもむしが良すぎるではないか。
「……これ」
チラリと綱吉を見た獄寺が、一瞬だけ憂うような表情をみせ右手を山本に付き出した。
「なんだ?」
ところどころ汚れた白球は、山本の手にとても似合っていた。続いて渡されたサインペンも受け取って山本が首を傾げる。
「てめぇのホームランボールだよ。サインしたらとっとと返せ」
応援中、いつの間にか隣から消えていたと思った獄寺は、これを探しに行っていたのか。驚いて顔を上げた綱吉に薄く笑んでみせ、獄寺は続ける。
「全部置いてくなら、俺が代わりに持っててやるよ。そんで、てめぇがドジった時には棺桶に一緒にいれてやる。野球馬鹿から野球とっちまったら馬鹿しか残らねぇからな。それじゃぁ、十代目の守護者としてあまりに情けねぇ!」
山本は黙ってボールに名前を記した。
サインの入ったボールを奪うように取って、獄寺はぽけっとにしまった。怒ったような顔をしているのは、きっと照れ臭いからだろう。
「……サンキューな、獄寺」
「てめぇの為じゃねぇよ!俺は十代目の為に」
「だから、サンキューな」
獄寺は変わった。昔は、やみくもに威嚇したり、怒鳴ったり。そうかと思えば妙な空回りをしたり、そんな行動ばかりが目立っていた。それが、いつの間にか綱吉に寄り添うようになっていた。
思えば獄寺はずっと綱吉だけを、驚くほど一途に見つめていた。彼の優秀な頭は、その経験から、綱吉にとっての何が最良なのかを導き出しているのだろう。
獄寺は本気で右腕になろうとしているのだ。他の誰でもない、綱吉の右腕に。
獄寺も山本も変わろうとしている。
綱吉のために。
「ツナ!」
がしっと、力強い腕が首に回される。バットを刀に持ちかえたこの腕は、変わらずに綱吉に触れるだろうか。
「泣いてんのか?」
「うん、なんか感動しちゃって……。山本かっこよったよ!」
えへへっと笑ってみせると山本もまた笑う。今度は視線を反らさずに綱吉はその顔を見つめた。
変わらなきゃならないのは山本でも獄寺でもない。綱吉なのだ。綱吉が彼らを巻き込んだのだから。
「そろそろ行こっか!」
「はい!」
「おう!」
それでも必ず守ってみせる。守らなきゃならないのだ。その為に、綱吉は、彼らを変えてしまったのだから。
「手繋いでいこっか」
「おー、いいな、それ」
「お言葉ですが十代目、ここは人の目もありますし……」
「獄寺は細かいこと気にしすぎなのな」
「んだと!てめぇが考えなさ過ぎなんだよ!えっ、いえっ、十代目は違いますよっ」
左右の手に触れた彼らの手は、とてもあたたかだった。
今年の夏は冷夏だなどと、一体誰が言ったのだろう。蓋を開けてみれば記録的猛暑で、最高気温更新のオンパレード。アルプススタンドに並ぶ綱吉たちも、いつ倒れるかと思った程だ。マウンドに立つ選手たちは、凄く大変だっただろう。
凄く大変とは、なんとも陳腐な感想だ。こんなにも近くで彼を見続けてきたのに。綱吉には、今、彼の背中にどう声をかければいいのか、それすらもわからない。
「おい、山本」
結局声をかけたのは獄寺だった。くるりと振り返った山本がにかっと笑う。
「なんだ、獄寺?」
「その……砂とか、よかったのかよ」
早口で言い切った獄寺は、ガラじゃないとでも言うようにしかめっ面をして足元を睨んでいる。
「甲子園つったら、記念に砂持って帰るんだろ」
激戦の関東地区を勝ち抜いて、今年、山本は甲子園のマウンドに立った。高校最後の夏だ。綱吉たちも必死に応援した。
その夏も、先ほど終わりを告げた。終わってみれば、本当にあっというまだった。
「んー。俺、野球は高校までって決めてたからな。ここに全部置いてくのな!」
笑った山本の顔を見れなくて綱吉は俯いた。足元の土が色を変える。奪ってしまうのだ、自分が。彼が人生の半分以上かけて打ち込んできたものを。
「ごめん」と言いかけて唇を噛む。山本は、綱吉に謝罪など望んでいない。謝って許されようなどと、あまりにもむしが良すぎるではないか。
「……これ」
チラリと綱吉を見た獄寺が、一瞬だけ憂うような表情をみせ右手を山本に付き出した。
「なんだ?」
ところどころ汚れた白球は、山本の手にとても似合っていた。続いて渡されたサインペンも受け取って山本が首を傾げる。
「てめぇのホームランボールだよ。サインしたらとっとと返せ」
応援中、いつの間にか隣から消えていたと思った獄寺は、これを探しに行っていたのか。驚いて顔を上げた綱吉に薄く笑んでみせ、獄寺は続ける。
「全部置いてくなら、俺が代わりに持っててやるよ。そんで、てめぇがドジった時には棺桶に一緒にいれてやる。野球馬鹿から野球とっちまったら馬鹿しか残らねぇからな。それじゃぁ、十代目の守護者としてあまりに情けねぇ!」
山本は黙ってボールに名前を記した。
サインの入ったボールを奪うように取って、獄寺はぽけっとにしまった。怒ったような顔をしているのは、きっと照れ臭いからだろう。
「……サンキューな、獄寺」
「てめぇの為じゃねぇよ!俺は十代目の為に」
「だから、サンキューな」
獄寺は変わった。昔は、やみくもに威嚇したり、怒鳴ったり。そうかと思えば妙な空回りをしたり、そんな行動ばかりが目立っていた。それが、いつの間にか綱吉に寄り添うようになっていた。
思えば獄寺はずっと綱吉だけを、驚くほど一途に見つめていた。彼の優秀な頭は、その経験から、綱吉にとっての何が最良なのかを導き出しているのだろう。
獄寺は本気で右腕になろうとしているのだ。他の誰でもない、綱吉の右腕に。
獄寺も山本も変わろうとしている。
綱吉のために。
「ツナ!」
がしっと、力強い腕が首に回される。バットを刀に持ちかえたこの腕は、変わらずに綱吉に触れるだろうか。
「泣いてんのか?」
「うん、なんか感動しちゃって……。山本かっこよったよ!」
えへへっと笑ってみせると山本もまた笑う。今度は視線を反らさずに綱吉はその顔を見つめた。
変わらなきゃならないのは山本でも獄寺でもない。綱吉なのだ。綱吉が彼らを巻き込んだのだから。
「そろそろ行こっか!」
「はい!」
「おう!」
それでも必ず守ってみせる。守らなきゃならないのだ。その為に、綱吉は、彼らを変えてしまったのだから。
「手繋いでいこっか」
「おー、いいな、それ」
「お言葉ですが十代目、ここは人の目もありますし……」
「獄寺は細かいこと気にしすぎなのな」
「んだと!てめぇが考えなさ過ぎなんだよ!えっ、いえっ、十代目は違いますよっ」
左右の手に触れた彼らの手は、とてもあたたかだった。
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